岩塩、なんと崇高な、魅惑的な鉱物であろう――作家生活十年の記念碑的小説集。芥川賞受賞の鮮烈なデビュー作から、さらに千変万化する緻密な小説世界。日常と地続きの異界へ。自分の内なる非日常空間へ。探索は果てなく進み行く。〈これが今の僕の「身体」である〉。六年ぶりの小説集。「無声抄」「岩塩の女王」「修那羅」「ある平衡」「幻聴譜」「蝸牛邸」―― 典雅な言葉の結晶が異空間を創出する六篇を収録。
久し振りの諏訪哲史。『りすん』読んでから9年かあ。どうも小説を書けなくなっていたようで、その辺が最初の「無声抄」に描かれている。ここまで苦労して言葉を捻り出さねばならないのであれば小説家も大変だ。全6篇のうち「岩塩の女王」と「幻聴譜」はちょっと読みにくかった。個人的には「修那羅」が一番良かったね。
岩塩の女王 | |
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