アサッテの人(諏訪哲史)★★★★☆ 4/20読了

「ポンパ!」 突如失踪してしまった叔父が発する奇声!
アパートに残された、叔父の荷物を引き取りに行った主人公は、そこで叔父の残した日記を見つける。
現代において小説を書く試みとは何なのか? その創作の根源にある問いに、自身の言葉を武器に格闘し、練り上げられていく言葉の運動。精緻にはり巡らされた構造と、小説としての言葉の手触りを同居させた、著者の大胆な試み。
読書家としても知られる各氏をうならせた、驚異の才能のデビュー作!

もちろん芥川賞を受賞したのは知っていたが、積極的に読む気にはならず、妻が図書館で借りてきたからという消極的な理由で読み始めた。
失踪してしまった叔父さんのことを書くために、叔父さんの日記や自身が書いた小説の草稿などを持ち出すという凝った構成に最初は違和感を感じたし、「ポンパ」や「タポンテュー」といった奇声の説明にも(面白いことは面白いけれども)別段興味は惹かれなかった。ところが、叔父さんが吃音に悩んでいたという話からエレベーターでの「チューリップ男」の話に至り、「アサッテ」とは何かが分かってくると俄然面白くなってくる。ここまで来てようやくこの本はすごいぞということが分かってきた。要するに「ポンパ」だの「タポンテュー」だのといった言葉に惑わされていてはダメなのだ。そんなものは大きな「アサッテ」の中に於てはごく些細な事柄なのだ。これでは何を言っているのか分からないと思うので読んでもらうしかない。
bk1Amazonではかなりの酷評も目立つ。しちめんどくさい作風なのである意味仕方がないのかなとも思いつつも、この本の良さが理解されないのは残念だなと思う。芥川賞受賞もむべなるかな。次作に大いに期待したい。

アサッテの人
アサッテの人諏訪 哲史

講談社 2007-07-21
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