談春七夜アンコール2007 〜横浜にぎわい座バージョン〜 第五夜「銀(しろがね)」

にぎわい座は、会社と家の間にあり、非常にアクセスのいい場所にあるのに行くのは実は初めて。専用の小屋だけあって見やすいし、雰囲気がいいね。席もなかなかいい席だった。


<立川春太:道灌>
話し方が一本調子になっちゃうし、「間」がないからどうにも落語になっていない。まあ、まだまだこれからなんだろうね。


立川談春:小猿七之助
講釈の抜き読みとのこと。客席の照明を落としての開始となった。その方がお客さんも話の世界に浸れるでしょ、という配慮だった。確かに、暗い中で講談調に話されると大川に浮かぶ一隻の船、船頭七之介と芸者お滝の姿がすーっと現れる。なかなかに怖い話であり、色っぽい話でもある。歌舞伎にもなっているようで、見せ場を歌舞伎調でもやってくれた(照れてたけど)。


仲入り


立川談春:包丁>
マクラはまず時津風問題。8月に聴いた小朝のときは朝青龍問題。相撲界っていうのは落語界に格好のマクラネタを提供してるねえw。それから談志との話をいくつか。談春は、新作落語や自由に改変した古典落語を楽しそうに演じている他の落語家たちをちょっと羨ましいと思っているようだが、談志には「おまえはぶれちゃいけない。おまえにイリュージョンは要らない」と言われたそうだ。なんで俺一人で「小猿七之助」みたいな話をコツコツやってなきゃいけないのかな、なんてちょっと愚痴っていた。でも私は古典をきっちり演じられる落語家が好きなので、談春には談志のようにではなく、ゆくゆくは志ん朝のようになって欲しいね。

今日のお題の「銀(しろがね)」は当然この「包丁」から来ている(「小猿七之助」にも匕首が出てきたね)。落語初心者の私はこの噺を知らなかった。マクラで「このおかみさんはなんでこうも簡単に寝返っちゃうんだろうね」なんて話をされたが、噺を知らないから聴くまではよく分からなかった(聴いた後で分かったけどね)。
談春の酔っぱらいは上手いね。さすがに談志が「らくだ」で見せた屑屋ほどの凄みはないけど、相当に上手い。悪い男も上手いし、女も上手い。ただ、噺自体は最後なんでそうなるのかなという感じで、サゲもあまり面白くなかった。そこに至る過程は十分に面白かったけどね。


談春七夜アンコール2007はまだ続くようだが、来月は「志らく」を聴きに行く予定。志らくは初めてなので楽しみだな。