マイクロソフトカップ決勝 東芝vsサントリー 秩父宮ラグビー場 生観戦

秩父宮へは何度も足を運んでいるが、今日ほど観に行って良かったと思ったことはない。劇的な、あまりにも劇的な幕切れだった。
秩父宮は超満員。こんなに入った秩父宮で観戦するのはもしかすると初めてかもしれない。席はバックA指定。10メートルラインよりもやや電光掲示板よりのなかなかいい席だ。通路を挟んだ、より中央の席は東芝の応援団の席で、みんなフード付きの赤いレインコートのような上っ張りを着ていた。
風上の東芝ラインアウトで苦しんだ。サントリーラインアウトの最前列で篠塚を思いきり高く持ち上げる作戦に出たのだ。これがなかなか嫌らしかった。強風でノットストレートになることも多かった。最初の得点チャンスはサントリー。4分にニコラスが比較的易しいPGを狙ったのだが、これが外れた。結果からみるとこのPGを外したのは大きかった。
東芝ラインアウトが取れないし、攻め込んでノッコンしたりでどうもリズムがつかめない。一方サントリーは21分に佐々木が負傷退場した(代わりに入ったのは大久保尚哉)。均衡を破ったのはサントリー。24分に東芝のパスを自陣で栗原がインターセプトして、そのまま独走トライ。ゴールも決まって0-7。東芝の反撃は31分。サントリー陣でのポイントからボールはマクラウドへ。マクラウドがパスダミーから縦を突いてそのままトライ。またもやインターセプトを狙っていたサントリーの選手はマクラウドのパスダミーにまんまと引っかかった。ゴールも決まって7-7の同点。前半はこのまま同点で終了。東芝は終了間際のトライチャンスでのオトのノッコンが痛かった。試合前にはこの試合はトライ数・ゴール数が同じで引き分けになった場合は延長があるとアナウンスされていた。
後半最初の得点はサントリー。11分にニコラスがPGを決めて7-10。その後は風下にもかかわらず東芝が頑張るのだが、バツベイのシンビンがあったりしてなかなか得点出来ない。時間だけがじりじりと過ぎてゆく。しかも37分にはまたもやニコラスにPGを決められて7-13。東芝は依然として得点できないままロスタイムへ。ロスタイムは4分。逆転は十分に可能だ。観ているこちらはもちろん逆転を信じていた。東芝は敵陣でペナルティを得ると、タッチに蹴り出さずにフォワードでの突進を選択した。ちょっと距離はあったが、ラインアウトにしてボールを失うことを考えると実に賢明な選択だ。ここから東芝の怒濤の攻撃が始まる。一度では攻めきれないが、サントリーの反則もあり、再三にわたってフォワードで勝負を挑む。私も含めた東芝の応援は「押せー、押せー」の大絶叫だ。そして、ロスタイムの4分を過ぎて、サントリーオフサイド。岩下レフリーが両チームにラストワンプレーと確認しているのが見えた。ここでもちょん蹴りからフォワードでの突進だ。ゴール正面から少しずつ左へずれながら進み、最後はゴール左脇へトライ。スタンドの東芝ファンは総立ちだ。もちろんは私も立ち上がって雄叫びを上げていた。肉眼では見えなかったのだが、電光掲示板でのリプレーを見るとダウンボールしたのはバツベイだった。そのリプレーの場面では改めてどよめきが起こった。そして、コンバージョンを吉田が決めた瞬間にノーサイド東芝の控えの選手たちがグラウンドに飛び出してきて歓喜の輪が出来た。客席の東芝ファンも総立ち。私も何度も右のこぶしを突き上げた。それにしても何という幕切れだろう。野球で言えば逆転サヨナラ満塁ホームラン(お釣りナシ)っていう感じか。
普段東芝の試合を観るときは、苦戦しても最後には東芝が勝つと思って観ている。ところが今期のサントリーが相手の時だけは別だ。常に負けるかもしれないという思いが付いて回る。それだけサントリーは強い。この試合も負けるかもしれないと何度も思った。それでも東芝は勝った。東芝はファンの私が思っている以上に強かった。しかし、今日の東芝の出来は悪かった。要所でのノッコンがあまりに多すぎた。ノッコンしたときにセルフジャッジで動きを止めてしまうときがあったのも気になった。ラインアウトもひどかったね。日本選手権までにはきっちり修正して欲しい。サントリーは後半18分にバツベイがシンビンで退場したときに得点できなかったのが痛かったな。
実は今、テレビ朝日の録画放送を観ながらこれを書いている。ロスタイムの攻撃って一度サントリーにボール取られてたんだな。その時にはやはり駄目かと思ったんだけど、サントリーがタッチに出したラインアウトを取って、そこからさらに攻め続けたんだな。いやあ、テレビで改めて観てもバツベイのトライにはガッツポーズが出るな。
これで東芝マイクロソフトカップ3連覇。日本選手権も是非優勝して欲しいね。

東芝vsサントリー(14-13)