宮沢章夫と村上春樹

ユリイカ増刊号」に自筆年譜を書いているが、それが終わらない。ようやく、一九九八年を書き終えたところだ。ここまでですでに原稿用紙にして40枚ある。どうなんだ。

ユリイカ増刊号・総特集宮沢章夫」を買いに会社の帰りにリアル書店へ。宮沢章夫といえば、『考える水、その他の石』も出ている訳だが、『東京大学「80年代地下文化論」講義』とややかぶっているところがありそうなので、これはできれば図書館で借りたい。

考える水、その他の石
宮沢 章夫著
白水社 (2006.11)
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ユリイカの特集はなかなか中身が濃い。巻頭は野村萬斎との対談。もちろん『鵺/NUE』を踏まえての対談だ。芝居を観てから読むか、読んでから観るかというところだが、私は帰りの電車で読んでしまった。そもそも能の「鵺」のこともよく知らないからな。芝居を観る際のヒントみたいなものが得られたので先に読んで正解だったようだ。他にも青山真治との対談もあるし、三坂知絵子の「宮沢章夫ストーカー日記」も面白そうだ。入魂の「宮沢章夫自筆年譜」が楽しみなのは言うまでもない。
それにしても何だってこんなに宮沢章夫に入れ込んじゃってるんだろう。もともとは「喫茶店のメニューに焼きうどんが載るようになったらその喫茶店にはダメ感が漂う」というようなエッセイを読んで面白かったのが最初だ。それ以来、エッセイ、小説、ブログ、芝居とずいぶん追っかけてるな。まあ、そのうち興味の対象は他の人に移るかもしれないけどね。

『「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』(長いよ)を立ち読みしていると、最後の方に『グレート・ギャツビー』と『ロング・グッバイ』の翻訳が出ると書いてあった(風の噂には聞いていたが)。前者は年内に、後者は来年の春だそうだ。ふと棚を見ると『グレート・ギャツビー』の愛蔵版があるじゃないか。函入りで、和田誠の装丁・装画が素晴らしい。しかもこれには愛蔵版特別書き下ろし冊子「『グレート・ギャツビー』に描かれたニューヨーク」が付いている。これがまた和田誠のイラストが入っていて洒落てるんだよなあ。愛蔵版いいけど、ちょっと大きいし値段も高いなと思っていたら、隣に「村上春樹翻訳ライブラリー」版の『グレート・ギャツビー』もあるじゃないか。これなら安いし、読みやすい。だけど、どっち買うか迷うなこれ。映画の「華麗なるギャツビー」がつまらなかった印象があるので原作は実は未読である。まあ、村上春樹訳が出るまで待っていたということにしよう。
もう1つの『ロング・グッバイ』も楽しみだな。清水俊二訳の『長いお別れ』はもちろん読んだ。"To say goodbye is to die a little." を村上春樹がどう訳すのか興味深いね。それにしても、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『グレート・ギャツビー』『ロング・グッバイ』と村上春樹の再訳はみんなカタカナのタイトルになるんだな。