泣き虫しょったんの奇跡(瀬川晶司)★★★★☆ 6/11読了

26歳で一度死んだ男は、35歳で夢をかなえた。
彼はなぜ「将棋のプロ」という夢を追ったのか。その将棋に殺され、将棋を憎んだ彼はなぜ再び立ち上がることができたのか。
無気力だった少年が歴史に残る奇跡を成し遂げるまでの成長と挫折と再生を、彼を支えた信じられないほどいい人たちとの交流をまじえて綴った感動の自叙伝!

それほど期待していなかったのだが、読み始めたら止まらなくなってしまった。そして、何度も泣きそうになった。人にはそれぞれ人生がある。特に有名でも何でもない市井の人々の人生にも余人には知られざる波乱万丈があるかもしれない。しかし、瀬川晶司が辿ってきた道のりはかなり特殊な部類に属するだろう。一度は奨励会を年齢制限で退会しながら、プロ入りを嘆願して見事にプロになってしまったのだから。そんな瀬川晶司の半生が綴られている。
将棋ファンの私にとっては、非常に興味深いエピソードのオンパレードだった。アマ強豪で名高かった渡辺健弥と家が近くて、お互いに切磋琢磨して強くなったという話は全く知らなかった。本書はどこをとっても非常に面白いのだが、なかでもこの渡辺健弥とともに奨励会を目指した話である第2章の「ライバル」は白眉であると思う。
もうくだくだ書くのはよそう。将棋ファンにもそうでない人にもとにかく読んで欲しい。きっと読む者に勇気を与えてくれるだろう。

泣き虫しょったんの奇跡 サラリーマンから将棋のプロへ
泣き虫しょったんの奇跡 サラリーマンから将棋のプロへ瀬川 晶司

講談社 2006-04-21
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