最悪(奥田英朗)★★★☆☆ 3/24読了

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。

上のあらすじにもあるとおり、3人の人物がそれぞれ最悪へと転がり落ちていく。この描写がかなりリアルで読んでいるこちらの方も辛くなってくる。それが、この3人が出会うあたりから話はぐっとスピーディな展開になり、「おっ、面白くなってきたか」と思うのだが、ちょっと結末が納得いかないんだよなあ。
読んでいて辛いと書いたが、辛いと思わせるほどのリアルさを出せる筆力は素晴らしい。結果的に言えば、クライマックス部分よりも、3人のそれぞれを描写している部分の方が読ませる。ということはこの小説を「犯罪小説」と呼ぶのはちょっと違うような気もしてくるな。
『邪魔』と『最悪』なら、『邪魔』の方が面白いね。まあ、私はということだけど。

最悪
最悪奥田 英朗

講談社 2002-09
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おすすめ平均 star
starこれが序章だ
star嫌な奴、大集合!(笑)
star普通に面白いです

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