ポトスライムの舟(津村記久子)★★☆☆☆ 3/28読了

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。

津村記久子の小説を一度読んでみたくて図書館で借りてみたんだけど、「う〜ん」という感じだった。
表題作の主人公はパワハラを受けて会社を辞めて、今は契約社員として工場で働いたり、友人のカフェでバイトしたり、パソコン教室の講師をしたりしている。もう一篇の「十二月の窓辺」がパワハラを受けて会社を辞める女性の話なので、順番を逆にして読んだ方がよかったのかもしれない。
どちらの話も非常に暗く、最後にかすかな希望が見えるかなという程度の明るさしかない。笑えるわけでも、泣けるわけでも、感動するわけでも、感心するわけでも、役に立つわけでもない。「十二月の窓辺」のパワハラの描写などは、読んでいて嫌な気持ちにさえなる。でも最後まで読んでしまったのだから、筆力はあるのだと思う。いつか、もうちょっと違う話を読んでみたい。

ポトスライムの舟

ポトスライムの舟