予想通りの東芝の完勝であるが、「当然だろう」という思いが95%、「ホッとした」という思いが5%くらいだろうか。
前半6分、相手ゴール前での東芝のパスにミスがあったのだが、それが逆に功を奏してマクラウドがトライ。ゴールも決まって7-0。13分には早稲田がPGを狙うも五郎丸が外して得点ならず(結果的にはこれが入っていれば完封は免れていた)。その後は早稲田のディフェンスもよく一進一退の攻防。37分にようやく東芝がモールを押し込んで渡邊がトライ。ゴールは外れて12-0。このまま前半終了。
後半開始早々、モールからのボールをなぜかオトが出す羽目になり、パスが悪い。そのパスをタップしたボールが東芝陣を転々とし、走り込んできた菅野にすっぽり入ればそのままトライだったのだが、菅野がノッコンして幻のトライとなった。その後は完全に東芝ペース。後半29分にはバツベイを投入。37分にはケプも投入して万全の体勢。早稲田に付けいる隙を全く与えなかった。最後は東芝がペナルティを得たのだが、タッチに蹴り出してノーサイド。43-0で早稲田を完封した。東芝ファンの私としては、最後もトライを取りに行って、50点にして欲しかったのだが、まあそこまでしないところも大人の余裕だろうか。
東芝は、ラインアウト、スクラム、モール、接点での攻防とどれを取っても早稲田を上回っていた。特にトヨタが大苦戦したラインアウトでは逆に早稲田のサインを読み切り、完全にラインアウトを制圧していた。早稲田はラインアウトの要である豊田の前半21分での負傷交代が痛かったが、それがなくても東芝がラインアウトでは勝っていただろう。
フォワードでは中居と渡邊の両フランカーが大活躍だった。強いし走れるしで文句なしだった。バックスではSH吉田とWTB廣瀬が目立っていた。特に廣瀬はあまりサイズはないのだが、なかなか倒れない。立って継続するラグビーを見事に体現していた。
清宮監督はハーフタイムのインタビューで、お互いに消耗していると言っていたが、明らかに消耗していたのは早稲田の選手たちだった。それでも後半35分くらいまでは切れずに頑張っていたのはさすがだった。東芝はトップリーグを勝ち抜いたフィットネスの違い、控えの選手層の厚さをまざまざと早稲田に見せつけた。
トヨタと東芝の違いは試合後の冨岡キャプテンのコメントにも伺える。
今日は決して自分たちの力を過信することなく、彼らを過大評価することなく、かといって過小評価もせず見ることができました。試合内容はうちはやることをやって、相手が対応できないところを徹底的に壊しました。
早稲田は負けはしたが、大健闘だった。特に東芝相手に前半12点に抑えたのだからすごいよ。負けても今季の偉業は全く色褪せることはないだろう。来季もいいチームを作ってトップリーグのチームに挑戦して欲しい。そしてトップリーグのチームはその挑戦をきっちりはね除けて欲しい。今日は東芝が勝つべくして勝った。何しろ東芝の目標は3冠達成であって、早稲田に勝つことではないのだ。