もうおうちへかえりましょう(穂村弘)★★★☆☆ 2/10読了

「世界音痴」な男、穂村弘の第二弾エッセイ集である。買おうかどうしようか迷って結局買わず、図書館で借りて読んだ。まあ、買うほどの本ではないね。
小学校の体育の授業で2人一組になりなさいと言われると、結局最後の1人になって先生と組む羽目になったり、飲み会の席で右隣の人がそのまた右側の人と話してしまい、左隣の人がそのまた左側の人と話してしまって、前にいた人がいつの間にか飲み物を持ってどこかに行ってしまって1人になってしまうという穂村弘ほど自分はひどくないと思いつつ、面白く読めてしまうというのはどこか共通するところがあるのだろう。
いろいろな媒体に発表したものの寄せ集めなので、かなりバラエティに富んでいるが、『本の雑誌』に発表したものが一番安定して面白いかな。著者は、絶版となっていたシオドア・スタージョンの『一角獣・多角獣』を古本屋で見つけたときには、「復刊署名運動のことも、もうやめればいいのになー、などと思い始める」のだが、これを「残念ながら復刊したんだよねー」とほくそ笑みながら、私は読んでいる。

高野文子の新刊が出た、というニュースを聞くと緊張する。(中略)
何故、そんなことを思うのか。高野文子の場合、その作品を読むことが読者にとってのひとつの試練というか、戦いになることが判っているからだ。

これなんかも共感できるし、自分だったら、ジョン・アーヴィングだなと置き換える。アーヴィングの作品を読むのはかなりしんどい(長いし)。でも読み終わったあとに得られるものは他の本の比ではない。それが判っているから読むのだが、読む前はどうしても構えてしまう。積ん読本を整理して、村上春樹の新刊が出ないことを確認して、体調を整えて、それからでないと読み始められない。
といった具合に、私にとって、「あるある」とか「ふむふむ」と思わせてくれる話が多かった。穂村弘、ただの「世界音痴」じゃあ、ありませんな。

もうおうちへかえりましょう
もうおうちへかえりましょう穂村 弘

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