メモリ16KBの青春がよみがえる。史上最短のロードノベルにして大人の青春小説!
語り手“ゲンさん”「胃袋だけは十年前と同じで老けてないのかな」
年上の友人・武上さん「クラウドってのは、なんなの。なんか、たまに聞くけど」
その引きこもりの甥シンスケ「昭和のオタクは、足だけは丈夫なんです」
人気漫画家の亀谷さん「すごくいい話ですね」――新幹線、自転車、バス、テスラに乗って、おかしな一行は旅に出る。
震災被害者の形見のMSXパソコンが過去と現在をつなぎ、思いもよらぬ光が未来を照らす。
イーロン・マスクやホリエモンにはならなかった、あのとき無数にいた「僕たち」の物語。
こういう言葉は使いたくないのだが、長嶋有の小説って「エモい」んだよな。思っていても口に出さないような気持ちをすくい上げてくれていて、「そうそう、そうなんだよ」と何度も言いたくなる。私は長嶋有よりも5歳年上だが、ソニーのHB-101のことは知らなかった。ただ、確か高校のときの友だちの家にはNECのPC98があった。私はパソコンおたくではなかったけど、同時代を生きた1人ではあったのだと思う。終わり方もいいね。