iaku「あたしら葉桜」@三鷹市芸術文化センター 星のホール

現代のテレビドラマなどに見る口語セリフの第一人者とも言われる岸田國士。セリフの書き様に徹底的こだわった岸田國士にシンパシーを持っています。彼の初期作品の数々から、当時に生きる人たち(庶民よりは少し裕福な人たち)の日常のニオイが嗅げる面白味は、戯曲が時代を越えて存在する意義を感じさせてくれます。私もセリフにこだわった作品づくりを行なっているので、いつか時代を経ても楽しんでもらえるものを書ければ、と思っています。『葉桜』(朗読)と『あたしら葉桜』の連続上演は、二つの時代と、二人の作家を並べて見つめる企画です。文豪に肩を並べる気はさらさらありませんが、こうやって勝手に真っ向勝負を挑めるのはなかなか楽しいです。コロナで中止になってから3年。ようやくリベンジの時が来ました。劇場でお会いできますことを、心より楽しみにしています。

作:横山拓也 演出:上田一軒
出演:林 英世、松原由希子(匿名劇壇)

芝居は数多く観てきたが、朗読劇は実は観たことがなかった。今回は岸田國士の『葉桜』の朗読のあとに横山拓也の『あたしら葉桜』を上演するという趣向。朗読ということで台本を手に持って読むのだが、ずっと座って読むわけではなく、畳八畳敷きの舞台の上で、立ったり座ったり、歩き回ったりしながら読んでいた。でも、俳優同士は目を合わせないんだよな。全く、つっかえたり、噛んだりしないのもすごかった。
『葉桜』の昔の丁寧な言葉遣いから一転して、『あたしら葉桜』は口語関西弁。内容的にも『葉桜』とリンクしつつも大きく飛躍していて実に興味深かった。役者2人はとても達者だったし、松原さんはすごく綺麗だったなあ。