猫を棄てる 父親について語るとき(村上春樹)★★★★☆ 4/27読了

時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがある
ある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長いあいだ思っていた―――村上文学のあるルーツ

村上春樹が父親について語った文章である。普通であれば、他人のプライベートな親子関係の話なんて知らんがな、となりそうなものだが、そこは村上春樹、ちゃんと読ませる文章になっている。とても個人的な思い出が綴られており、メッセージ性は強くないのだが、ちゃんと読者の胸には届いている。ガオ・イェンの挿絵も素晴らしい。

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