地下室の手記(ドストエフスキー)★★☆☆☆ 8/8読了

世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。

前川知大の舞台「地下室の手記」を観てから、原作である本書を読んだ。舞台を観てから読んだからそれなりに読めたけど、最初から原作を読んでいたら相当辛かっただろうな。舞台では単なる自意識過剰男のモノローグではなく、その語りをニコニコ生放送で放送するという体裁をとっている。これがなかなか秀逸で、最初は全くなかったが、途中からポツポツ入って来る視聴者からのコメントも笑えた。原作と読み比べてみると、脚本は実によくできていた。むしろ、そっちに感心した。

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)