笑い三年、泣き三月(木内昇)★★★☆☆ 9/26読了

三度の飯とお笑いを! 旅まわりの万歳芸人、映画監督志望だった復員兵、活字中毒戦災孤児。年齢も境遇も違う三人の男が焼け跡の浅草で出会った。やがて彼らは六区はずれの実演劇場にひろわれ、踊り子のボロアパートで家族同然に暮らすことに。「エロ」に燃え、「お笑い」に悩み、「写真」に憑かれ。愛すべきはずれ者たちそれぞれの「復興」を描く、直木賞作家による骨太エンターテインメント誕生!

戦後間もない頃に浅草で出会った万歳芸人と戦災孤児、それに復員兵や踊り子が加わって、奇妙な共同生活が始まる。
みんな悲しみや挫折や屈託を抱えているのだが、それでも何とか生き抜いていく様が生き生きとかつユーモラスに綴られている。
物語のテンポはいくぶんゆっくりしているが、それが善造の万歳のようで実に温かい。
ラストはみんながそれぞれの人生を歩み始めるところで終わる。みんな(特に戦災孤児の武雄)の今後の人生に幸多かれと願わずにはいられない。

笑い三年、泣き三月。

笑い三年、泣き三月。