ポリティコン 下(桐野夏生)★★★☆☆ 4/24読了

ポリティコン 上(桐野夏生)4/22読了

大正時代、東北の寒村に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。1997年3月、村の後継者・東一はこの村で美少女マヤと出会った。父親は失踪、母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に流れ着いたのだった。自らの王国「唯腕村」に囚われた男と、家族もなく国と国の狭間からこぼれ落ちた女は、愛し合い憎み合い、運命を交錯させる。過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、外国人妻、脱北者、国境…東アジアをこの十数年間に襲った波は、いやおうなく日本の片隅の村を呑み込んでいった。ユートピアはいつしかディストピアへ。今の日本のありのままの姿を、著者が5年の歳月をかけて猫き尽くした渾身の長編小説。

上巻はなかなか進まなかったが、下巻に入ってからは一気読みだった。
ただ、読んでいるときは面白いんだけど、読み終わってみると、だから何だったのかという気もするんだよな。
本作は今までの桐野作品の要素が色々とちりばめられているような気がする。逆に言えば、焦点が定まらずに散漫気味であり、『OUT』や『グロテスク』のようなどっぷりのめり込む感がない。
資本主義であろうと社会主義であろうと、ユートピアであろうとディストピアであろうと、人間は結局人間でしかないんだよなとこの本を読んで感じた。

ポリティコン 上

ポリティコン 上

ポリティコン 下

ポリティコン 下