グリング第16回公演「ピース −短編集のような・・・・・」

そこは基地の町だ。
といって米兵が問題を起こすわけでもなく、
人々はそこでピースな日々を過ごしている。


ある日曜日。
夫婦が友人夫婦とバーベキューに出かけた。夫は友人の妻に惹かれていた。
原子力船入港に反対する女は、近所から疎ましがられていた。
不動産屋の若い社員は、マンションが売れなくて困っていた。
下半身不随になった兄は、介護する弟夫婦とうまくいかなくなっていた。
入港反対のデモ見物に出かけた男は、来るはずのない女を待っていた。


五つのピースからなる、平和そうに見える日曜日の話。


作・演出 青木豪


中野英樹 鬼頭典子 林和義
杉山文雄 佐藤真弓 二階堂智
萩原利映 黒川薫 星野園美 遠藤隆太


2008年7月30日(水)〜8月11日(月) 下北沢:ザ・スズナリ

既に他劇団のために書いてあった短編2つに新作4編を書き下ろして、全体としてもある程度統一感のあるオムニバス形式の芝居にしてある。
最初はずいぶん簡素な舞台装置だなと思ったのだが、実は工夫が凝らしてあった。サイドの壁が観音扉のように閉じるのだ。幕間はこれが閉じていて、中で次の準備がされている。
今まで観たものに比べると、ちょいと重いというかスリリングな内容だった。バーベキューのシーンでの中野英樹二階堂智のやり取りは、説明的なセリフをかなりの早口でまくしたてるので、何がどうなっているのかほとんど分からなかった。もうちょっとゆっくりやって欲しかったな。星野園美の言い間違いシリーズもちょっと鼻についた。
既存の短編である「北向きの女」は結構良かった。これだけは独立したものとして楽しめたが、他の短編は独立して楽しめるというレベルには達していない。
俳優たちも何となく消化不良な感じで、全体的にはやや残念な結果だった。
終演後の挨拶で中野英樹がカミカミだったのには笑った。次回公演は来年の3月に青山円形劇場らしい。あの劇場の構造を活かした芝居に期待したい。