ティファニーで朝食を(トルーマン・カポーティ、村上春樹訳)★★★★☆  3/10読了

村上春樹はあとがきで、「ティファニーで朝食を」はなるべくオードリー・ヘップバーンをイメージしないで読んで欲しいと書いている。幸い私は映画『ティファニーで朝食を』を観たことがなかった。それでも勿論ポスターくらいは見たことがあるから、オードリー・ヘップバーンのイメージを「なし」にするのはなかなか難しかった。
物語は書き手のホリー・ゴライトリーへの追想という形で綴られる。このホリー・ゴライトリーの持つ「イノセンス」が書き手をそして読者を魅了するのだ。一読して「傑作だな、これは」という感じではない。ただ、不思議と心に残るのは間違いない。
表題作の他に「花盛りの家」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」の3篇が収められている。「クリスマスの思い出」は『誕生日の子どもたち』にも収録されているが、今回新たに手直しして再録したそうだ。「クリスマスの思い出」は『誕生日の子どもたち』を読んだ時に読んでいるのだが、改めて読むとすごく良かったね。個人的には表題作よりもこちらの方が好きだ。
毎度毎度思うことだが、村上春樹の「あとがき」は本当に素晴らしい。「あとがき」だけで、本の値段の半分くらいの価値があるんじゃないかとさえ思うね(大げさか)。

ティファニーで朝食を
ティファニーで朝食をトルーマン・カポーティ 村上春樹

新潮社 2008-02-29
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おすすめ平均 star
star村上が救助した作品であること
starこれで白いリボンなら☆☆☆☆☆
starとてもおもしろかった。

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