物語は、主人公の蕗子さんが父の遺品の中から「めぐらし屋」と題したノートを見つけたところから始まる。もっと厳密に言うと、そのノートの表紙裏に貼られた黄色い傘の絵は確か自分が小学生の時に描いたものだということに気付き、その当時のことを回想するところから物語は始まる。
想念が現実に結びつき、現実の出来事から新たな想念が紡ぎ出され、またそこから・・・という堀江敏幸お得意のストーリー展開である。蕗子さんの母親と離婚したのち一人暮らしをしていた父親が営んでいた(?)と思われる「めぐらし屋」とは何なのか。父親の生前の知り合いを辿るうちにゆるゆると事情が明らかになってくる。
正直言って、堀江敏幸が好きな人以外には退屈な話だろう。堀江敏幸が好きな私にとっても、「まずまず」といったところかな。