それからはスープのことばかり考えて暮らした(吉田篤弘)★★★★☆ 2/22読了

路面電車が走る町に越して来た青年が出会う人々。商店街のはずれのサンドイッチ店「トロワ」の店主と息子。アパートの屋根裏に住むマダム。隣町の映画館「月舟シネマ」のポップコーン売り。銀幕の女優に恋をした青年は時をこえてひとりの女性とめぐり会う―。いくつもの人生がとけあった「名前のないスープ」をめぐる、ささやかであたたかい物語。

暮しの手帖」で連載されていただけあって、ゆったりとした癒し系の小説である。堀江敏幸の『なずな』にもちょっと似ているが、堀江敏幸が文学寄りなら、吉田篤弘はおとぎ話寄りかな。
それにしても、この物語の主人公が羨ましかった。こんな暮らしがしてみたいよ。いっそ自分を主人公にしたこれと似たような物語でも書いてみようかな。