カポーティ ★★★★☆ シャンテシネ

1959年11月15日。カンザス州ホルカムでクラッター家の家族4人が、惨殺死体で発見される。翌日、NYで事件のニュース記事を見た作家トルーマン・カポーティは、これを次の小説の題材にしようと決心。幼馴染みで彼の良き理解者の女流作家ネル・ハーパー・リーを伴い、すぐさま現地へ向かう。小さな田舎町は前例のない残酷な事件に動揺していたが、やがて2人の青年が容疑者として逮捕された。カポーティは事件の真相を暴くべく、拘留中の彼らに接近していく。

上映時間:114分
監督:ベネット・ミラー
原作:ジェラルド・クラーク
脚本:ダン・ファターマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマンキャサリン・キーナー 、クリフトン・コリンズ・Jr 、クリス・クーパーブルース・グリーンウッドボブ・バラバン

予想通りフィリップ・シーモア・ホフマンの演技は素晴らしかった。非の打ち所がない。そしてさらに特筆すべきはネル・ハーパー・リーを演じたキャサリン・キーナーだ。抑えた演技は非常に好感が持てた。捜査官アルヴィン・デューイ役のクリス・クーパーも良かった。私はクリス・クーパーが好きなのだ。そして、『レディ・イン・ザ・ウォーター』にも出ていたボブ・バラバンが出演していたのも面白い偶然だった。
カポーティは、犯人の一人であるペリー・スミスにもう一人の自分を見てしまい、次第に彼を助けたいと思うようになる。しかし一方で、彼が死刑にならなければ『冷血』が完結しない。この葛藤に苦しむ様がよく描かれていた。カポーティは『冷血』発表後、新たな小説を書き上げることができなくなってしまった。『冷血』を書くための取材を通して、彼の中の何かかが失われてしまったのだろう。
カポーティ』を観終わって、『冷血』をパラパラと読み返すと、また違った感慨が湧き上がってきた。