前から気になっていること

「深い」を英語でなんて言うか? と訊かれたら、今日び小学生でも「deep」と答えるだろう。じゃあ「浅い」を英語でなんて言うかと訊かれたらどうだろう。即答できる人は少ないのではないだろうか。正解は・・「shallow」。ダニー・ボイル監督の『シャロウ・グレイブ』の「シャロウ」である。ちなみに、「シャロウ・グレイブ」は訳すと「浅い墓」となるが、「浅はか」を「浅墓」とするのは当て字である。
日本語では「深い」と「浅い」の使用頻度に極端な差があるとは思えない。試しにグーグルで検索してみると、「深い」が4,560,000例、「浅い」が3,440,000例と出た。桁が違ってしまうほどの差はない。なのに「シャロウ」というカタカナ語は日常ほとんど使用されない。これが不思議なんだよなあ。ついでに調べてみると、「ディープ」が3,280,000例、「シャロウ」が26,300例となった。やはり圧倒的に「シャロウ」の方が少ない。さらに、ウェブ全体で「deep」と「shallow」を調べてみるとどうなるか。「deep」が244,000,000例、「shallow」が27,100,000例と出た。まとめるとこうなる。

深い     4,560,000
浅い     3,440,000
割合     0.75

deep     244,000,000
shallow    27,100,000
割合     0.11

ディープ   3,280,000
シャロウ   26,300
割合     0.008

※「割合」は例えば「深い」を1とした時の「浅い」の割合である(以下同様)。

例えば、「right」と「left」、「up」と「down」、「top」と「bottom」など、対になっている言葉は基本的にはどちらも同じように使用する(ある程度の差はあるにしても)。「広い」と「狭い」の「狭い」も「浅い」にやや近いが、最近では「ブロードバンド」に対する「ナローバンド」という言葉も目にするので、「狭い」が「narrow」であることは、「浅い」が「shallow」であることよりは認知度が高いだろう。
となると、やはり「ディープ」と「シャロウ」の関係である。なぜ使用例にこれだけの差があるのか。「深い」の方が「浅い」よりも使用例が少し多いだろうなというのは実感的に何となく判る。「浅い」の使用例が「深い」の75%というのも実感とちょうどマッチする数字だ。「deep」と「shallow」の差が結構あるのも驚くが、やはり「ディープ」と「シャロウ」の使用例の差にはかなり驚く。

結論として、なぜ「シャロウ」が使われないのかということを書ければいいのだが、これが考えても判らない。これこれこういう理由じゃないだろうかという意見をお持ちの方がいたら是非教えて頂きたい。