掃除婦のための手引き書(ルシア・ベルリン)★★★☆☆ 9/16読了

毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。夜明けにふるえる足で酒を買いに行くアルコール依存症のシングルマザー(「どうにもならない」)。刑務所で囚人たちに創作を教える女性教師(「さあ土曜日だ」)。自身の人生に根ざして紡ぎ出された奇跡の文学。死後十年を経て「再発見」された作家のはじめての邦訳作品集。

岸本佐知子が激推しということでは読まないわけには行かない。著者の半自伝のような小説だが、著者の人生が波乱万丈なので、いきおい小説もすごいことになっている。結構重い内容の話が多いのだが、ユーモアもまぶされているので、読んでいてそこまで辛くはならない。個人的には「いいと悪い」と「さあ土曜日だ」が良かったな。