オレがマリオ(俵万智)★★★☆☆ 12/20読了

俵万智の第五歌集。東日本大震災を間に挟み、第一部、第二部と分かれる。俵は、放射能被害を逃れ、西へ西へと移動し、幼い息子の手を引き、運命的に石垣島への定住を決める。そこで出会った自然や人々。冒険心を掻き立てられる幼子。さまざまな経験や観察の中から生まれた341首。母として、3・11以降を生きる日本人の一人として、世界を受け止める。新たな生命力の獲得をベースに詠まれた傑作歌集。

俵万智の歌集を買うのは久し振り。装丁もいいし、表題作「「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ」が好きだったので購入した。震災から始まって、子どもの歌、石垣島の歌、恋の歌、死の歌と俵万智が辿ってきた人生がこの歌集に詰まっている。あとがきには子どもの歌は刺身で鮮度が命、恋の歌はじっくり寝かせて推敲を重ねるといったことが書かれていた。恋の歌も良かったけど、やっぱり子どもを詠んだ歌がいいね。個人的なお気に入りはこれ「子どもらはふいに現れくつろいで「おばちゃんカルピスちょうだい」と言う」。