落英(黒川博行)★★★★☆ 7/26読了

大阪府警薬物対策課の桐尾と上坂は覚醒剤密売捜査の最中、容疑者宅で想定外のブツを発見した。発射痕のある中国製のトカレフ―迷宮入りしている16年前の和歌山・南紀銀行副頭取射殺事件で使用された拳銃だった。ふたりは拳銃を調べる専従捜査を命じられ、射殺事件を担当していた和歌山県警の満井と手を組む。しかし、満井は悪徳刑事だった。桐尾と上坂は、事件当時に犯人と目されていた暴力団幹部に、発見した拳銃と同じものを売りつけるよう、満井に持ち掛けられる。金さえあれば、いつでもあの女を抱ける―。黒い欲望が、刑事を危険すぎる囮捜査に走らせる。

大阪でのガサ入れまでがちょっとまどろっこしいのだが、桐尾と上坂が和歌山に行って、満井と一緒に専従捜査に入ってから俄然面白くなってくる。
相変わらず大阪弁のやり取りが絶妙だし、直接物語には関係のない細かい描写も上手い。『悪果』には及ばないけど『煙霞』や『螻蛄』よりは面白かったね。