身の上話(佐藤正午)★★★☆☆ 6/4読了

この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。

古川ミチルという主人公が人生に翻弄される様を語り部の男性が振り返る構成となっている。この語り部の男性は主人公の配偶者であることを明かしているが、それ以外は全く不明だ。
古川ミチルが人生に翻弄されると書いたが、実際には自分から翻弄されに行っているという面もある。色々と意外性のある出来事が起きるので先が気になるのだが、やはりポイントは実際には過去のことを語っているということと、語り部は一体誰なのかということだ。
それらのポイントが最終盤まで興味をつないでいくのだが、語り部の男性が分かってしまった後がイマイチかなあ。まあ、そこへ行くまでの主人公の行動にも突っ込みどころは満載なのだが。
粗はいくつかあるけれども、それなりに面白くは読めたね。

身の上話

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