舟を編む(三浦しをん)★★★☆☆ 11/12読了

玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく―。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか―。

図書館で借りたので帯が付いていなくて幸いした。帯に登場人物のイラストが描いてあるのは邪魔なんだよな。登場人物の顔や姿は自分で想像したいから。
主人公の馬締光也がどうも森見作品の登場人物っぽかったり、編集部の面々が「神の雫」っぽかったりして、既視感バリバリなのだが、なかなかどうして面白かった。辞書編纂部というニッチなところに目を付けたのがいいね。私はそういう部署で働いてみたいという願望もあったので、結構のめり込んで読んでいた。ただ、実際には相当大変なんだなということもよく分かった。
文章の力の入り具合からいっても、「男」と「女」とか、「恋愛」という言葉の現在の辞書の語釈に、著者自身が相当不満を覚えていたのだなということもよく分かった。