小さいおうち(中島京子)★★★★★ 2/16読了

赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るタキ。そして60年以上の時を超えて、語られなかった想いは現代によみがえる。

実に面白かった。直木賞受賞もむべなるかな。堪能しました。
人物描写が巧みだし、戦争前後の東京の様子がよく描かれている。老いたタキの回想録をタキの妹の孫である健史が読むという体裁になっており、最後にその健史が書かれなかった真実を明らかにすることになる。
最終章がなくても十分に面白いのだが、最後の章で景色がひっくり返る。ああ、そうだったのかと。それを踏まえて前を読み返すと実に切ない気持ちになる。
是非、多くの人に読んでもらいたい。