らくだ工務店 第18回公演 十周年企画第1弾「カラスの歩く速さ」

10年ほどまえ、僕は繁華街にいた。
全身黒づくめで金色に染めた髪を伸ばし、肩で風を切っていた。
午前1時に店に出勤して、客が帰るまで飲めない酒に付き合った。
店長に「飲めなきゃかぶれ、かぶれなきゃ脱げ」と言われた。
僕は服を脱いだ。ヘラヘラと笑いながら着ていた服を脱いだ。
ある日、客に呼び出されたホテルに行くと何故かムチがずらっと並んでいた。
時には意味も無く赤いベレー帽をかぶった大勢の黒人に追いかけられたりもした。
仕事帰りに立ち寄った10円でゲームをする喫茶店で包丁を振り回した人がいた。
目の前で、人が死んだ。
僕はいま、ほぼ実話の物語を書いている。


作、演出:石曽根有也
出演:林和義、古川悦史、草野とおる、山口森広、宇津井香織、笹峯愛、高島由奈、瓜田尚美、今村裕次郎、石曽根有也


2010年4月20日(火)〜27日(火) 下北沢駅前劇場

OFFOFFは一度行ったことがあるのだが、駅前劇場は初めて。OFFOFFよりも広いんだね。横幅が結構あった。舞台は小さなホストクラブ。そこで交錯する人々が描かれている。
にしても林さんがホストっていうのはどうなんだろうか。さすがにごま塩頭は出せないので、常に帽子をかぶっていた。まあ、面白かったから良かったけど。
今回は今村裕次郎の「マジっすか?」があまりなかったのが残念。私の記憶では一度しか言ってないんじゃないかな(「マジで?」は何回かあったけど)。
ストーリーは、色々と想像で補わないとどうなっているのかが解らないようになっている。確かに、観たとおりで全部解っちゃう芝居じゃ詰まらないかもしれないが、解らなすぎても駄目だしね。そこらへんのさじ加減が難しい。今回の芝居はもうちょっと解りやすくても良かったかなと個人的には思う。
らくだ工務店の次回公演は10月に赤坂レッドシアターだそうだ。林さんと山口さんはやはり秋にあるONEOR8の舞台に客演するようだ。それも楽しみだな。