ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅(かいこう)を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末(てんまつ)をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
さすがカズオ・イシグロという感じ。何げなく人生の一断面を切り取っているようでいて、読後には深い余韻が残る。すべて音楽を絡めた男女の話だが、設定が微妙に不思議なところが読者の興味をうまくつないでいる。この本はオススメだ。
夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 | |
土屋政雄 早川書房 2009-06-10 売り上げランキング : 66 おすすめ平均 ひそやかに、しんみりと、そして、なんと端正な美しさなのでしょう。 音楽を愛する人々の人生模様を緩やかに描く著者初の好短編集をお楽しみください。 長編にはない新鮮な趣が・・・ Amazonで詳しく見る by G-Tools |