今宵、フィッツジェラルド劇場で(Bunkamuraル・シネマ)★★★☆☆

ミネソタ州セントポールフィッツジェラルド劇場で、長年親しまれてきたラジオショウ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の、最後の公開生放送が始まろうとしていた。私立探偵を気取った用心棒ノワール、名司会者キーラー、カントリーシンガーのヨランダとロンダのジョンソン姉妹、カウボーイソングデュオのダスティとレフティらが、次々と楽屋入りする。やがてショウが始まり、白いトレンチコートの美女が現れる・・・。

監督:ロバート・アルトマン
脚本:ギャリソン・キーラー
出演:ウディ・ハレルソントミー・リー・ジョーンズ 、ギャリソン・キーラー 、ケヴィン・クラインリンジー・ローハンヴァージニア・マドセンジョン・C・ライリー 、マーヤ・ルドルフ 、メリル・ストリープ 、リリー・トムリン 、メアリールイーズ・バーク 、L・Q・ジョーンズ 、ロビン・ウィリアムズ

実に豪華なキャスト、吹き替えではなくみんなが自ら歌っているのもすごい。メリル・ストリープとリリー・トムリンのジョンソン姉妹、ウディ・ハレルソンジョン・C・ライリーのダスティ・アンド・レフティ、どちらも息がピッタリだったね。そして何といってもギャリソン・キーラー。
この映画は、実際に現在も放送されているラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の舞台裏の人間模様を描いているが、本物の番組で30年以上にわたり司会を務め、作家でもあるギャリソン・キーラーが原案・脚本を手がけ、本人役で出演も果たしているのだ。このギャリソン・キーラーがとにかく素晴らしかった。
ロバート・アルトマンは撮影中に何かあった時のための「スタンバイ」として、ポール・トーマス・アンダーソンを指名していた。そのポール・トーマス・アンダーソン奥さんのマーヤ・ルドルフが臨月のお腹を抱えて出演しているのも面白い(撮影直後に出産したらしい)。
ロバート・アルトマンの、自らの死を予見していたような映画である。映画では、「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最後の生放送の模様が描かれるが、アルトマンの映画もこれが最後となった。最後にふさわしい、華やかで楽しくて、やがて哀しい映画だった。