最後の一球(島田荘司)★★★★☆ 1/15読了

島田荘司の刊行ラッシュに何とか付いていく形で、『帝都衛星軌道』『摩天楼の怪人』『UFO大通り』と読み継いできて本作である。
例によって冒頭で不可思議な謎が提示される。ところが、その後その謎とは一見関係のない野球の話になってしまう。これがかなり長いのだが、最後にはきちんと冒頭の謎につながる仕組みになっている。話の全体が10だとすると、1の仕掛けのために9の話をわざわざ拵えているような、本末転倒的な構成になっている。といっても決してけなしている訳ではなくて、むしろ褒めているのだ。というのも、この1の仕掛けを成立させるための野球の話が滅法面白いのだ。この野球の話だけ取り出して独立させても十分に通用する。さすがベテランという感じか。
時代がかった『摩天楼の怪人』のような豪速球よりも、現代を舞台にした本作のような小粋なスライダーの方が御手洗ものには合っているのかもしれないと思う今日この頃。

最後の一球
最後の一球島田 荘司

原書房 2006-11
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