「富士日記2」と「鵺 / NUEブログ」

11月3日(金)〜19日(日)の日程で宮沢章夫作・演出の『鵺 / NUE』が上演される。私も観に行く予定なので、宮沢章夫氏のブログ「富士日記2」での稽古場リポートはいつも楽しみにしている。『モーターサイクル・ドン・キホーテ』の時もそうだったが、かなり詳しく書いてくれるので、読んでいる方も実際の舞台への期待が高まっていく。

で、今回の「劇中劇」は清水邦夫さんの戯曲だ。「シェークスピア劇」よりはずっとわかるが、ほんとのところはわからない。どうもなにかちがうので、「もう一度、やってみましょう」と言ったところ、その場面の中心にいる若松さんから、「(演出の)法則がなければ、何度やっても、声が枯れるだけだよ」と言われた。その通りです。そこですぐ考える。すぐに答えを出さなければいけないのが稽古場での演出家の仕事だ。いろいろ試してみる。俳優からも意見が出る。うーん、まだなにかちがうな。

きょう、「黒ずくめの男」と「演出家」が出会う場面を稽古し、それを見て僕からダメを出したあとに、若松さん、上杉さんと、稽古の流れで話をする時間が取れたのは大きな収穫だった。というのも、僕は、「ここの部分は落ち着いてください」「勢いにまかせて芝居しないでください」とダメを出したが、それに上杉さんが、相手役が勢いがつくと、自分も負けじと勢いを出しどうしても早口でまくし立てるようにせりふを発してしまうと言うのだった。これまでの経験で、からだに染みついている演技術なのだろうし、そうした身体なのだろうが、そこで、僕もしつこいくらい「落ち着いていください」と言う。

試しに2箇所引用したが、かなり具体的だ。特に「法則がなければ、何度やっても、声が枯れるだけだよ」には、俳優と演出家のガチな勝負が垣間見れて痺れた。

そんな「富士日記2」を読んでいて、「鵺 / NUEブログ」がスタートしていることも知った。こちらのリポートはそれほど詳しくはないが、写真があるのがいい。「富士日記2」と両方読むと、補完し合ってちょうど良さそうだな。