アラバマ物語(ハーパー・リー)★★★★★ 10/26読了

この本を読むに至った理由は2つある。1つは映画『カポーティ』でカポーティの取材を手伝ったのが、ネル・ハーパー・リーであり、その『カポーティ』の中で、映画『アラバマ物語』のプレミア上映の模様が描かれていたこと。もう1つは、ジェフリー・ディーバーの『12番目のカード』に出て来る黒人少女ジェニーヴァ・セトルの愛読書が『アラバマ物語』だったことだ。
図書館で借りたのだが、昭和50年発行(第18刷)のその本はボロボロだった。そして見返しには、暮しの手帖社らしい紹介文が大きなゴシック体で書かれている。

この美しい小説を、世のすべての親たちに捧げる
舞台はアメリカ南部の古い町
母なきあとの父と兄妹の心にしみる愛情をヨコ糸に
婦女暴行の無実の罪をでっちあげられた黒人の若者をタテ糸に
見事に織りなした人生のメロドラマ
61年度のピュリッツァ賞にかがやき
十一カ国語に翻訳され、すでに数百万部を売りつくし
九十五週延々二年にわたって連続ベストセラーをつづけた名作である

本の途中には映画の時の写真が挟み込まれている。主人公の女の子スカウト役の子も、スカウトの兄さんのジェム役の子も、そして二人の父親であるアティカスを演じたグレゴリー・ペックも活字から想像するイメージ通りだ。
人種差別や偏見という重いテーマを扱っているのだが、一方で、スカウトやジェムが実に生き生きとしていて、暖かな家族の交流にもほのぼのとさせられる。とにかく、このアティカス・フィンチというお父さんは理想のお父さんだな。私もこういうお父さんになりたい、というかこういう人になりたい。実際、2003年にアメリカ映画協会の映画関係者ら1,500人の委員が選んだ100年間で最も偉大なヒーローが、この『アラバマ物語』のアティカス・フィンチなのだ(ちなみに2位がインディ・ジョーンズ、3位がジェームズ・ボンド)。
この本は私と同年代や下の世代の人たちにはあまり読まれていないのではないかという気がする(名前だけは聞いたことがあっても)。未読の方は是非読んでみて欲しい。誰が読んでも楽しめると思うが、特にお父さんに読んで欲しい。

アラバマ物語
アラバマ物語ハーパー・リー 菊池 重三郎

暮しの手帖社 1984-05
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starアメリカの誇りと
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starアティカス、ブー…

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