著名な彫刻家、川島伊作が病死した。彼が倒れる直前に完成させた、娘の江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られ、持ち去られてしまう。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。三転四転する謎に迫る名探偵・法月綸太郎の推理の行方は―!?幾重にも絡んだ悲劇の幕が、いま、開く!!
「このミス1位」ということで、ブックオフにて購入した。もちろん法月綸太郎の名前は知っているが、読むのは多分初めてだ。
私は中学・高校時代本格ミステリ(それも海外物)だけをひたすら読んでいた。冒頭に謎が提示され、それがラストできれいに解決されることによって得られるカタルシスをひたすら追い求めていた。大学時代に村上春樹に出会ってからは路線が変わっていくのだが、私の読書傾向の根っこの部分には常に「本格ミステリ」がある。
そんな私が読んだ久々の本格ミステリである。評価が高いだけあって、全体的な出来は悪くない。だけどなんかもの足りない。事件が解決に向かうところでの盛り上がりに欠けるのだ。こうググッと上昇曲線を描いていって、その頂点のところで「ああ〜、そうだったのか」と思わせて欲しいんだよなあ。それがない。淡々と収束してしまうのだ。そういう意味では歌野晶午の『葉桜・・』の方が面白かった。
ただし、完成度は高いので読んで損はないでしょう。(余談だが、やっぱり本格ミステリって行間に「本格ミステリ臭」が漂ってるよな。普通の小説だったらこういう書き方しないよなっていう箇所が結構ある。そういうのが気になるということは、私ももう純粋な「本格ミステリ読み」ではないんだなあ。)
生首に聞いてみろ | |
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