『休暇はほしくない』(パーネル・ホール)★★★☆☆ 6/28読了

待望のスタンリー・ヘイスティングズものの最新作なのだが、なんと表紙のイラストが江口寿史から朝倉めぐみに変わってしまっている。江口寿史のイラストが大好きだったので、これはショックだった。

それはさておき、今回は舞台がいつものニューヨークではない。息子のトミーがサマーキャンプに行ってしまったので、妻のアリスとともに避暑地に旅行に行ったのだ。そこで殺人事件に巻き込まれるのは、まあいつものことである。原題が“Cozy”というだけあって、コージーミステリーのコードに従って話は進んでいく。つまり、アガサ・クリスティーミス・マープルもののような感じと言ったらいいんだろうか。「ブルー・フロッグ・ポンド」というホテル(B&B?)内で殺人が起こり、料理のレシピが出てきたり、犬や猫やカエル(?)が出てきたりする。
例によって、一応私立探偵のスタンリーが事件に首を突っ込んで、なんだかんだで解決まで持って行くのだが、スタンリー・ヘイスティングズものの場合、謎解きはあまり重要ではない。むしろ会話や雰囲気を楽しみたい。実際私は「ブルー・フロッグ・ポンド」のことをホテルだと言い張るアリスとB&Bじゃないかと抵抗するスタンリーのやりとりが一番面白かった。

休暇はほしくない (ハヤカワ文庫 HM (153-16))

休暇はほしくない (ハヤカワ文庫 HM (153-16))