「世界を代表する5人の自由人のための賞…?」胡散臭いものだが、パリへの旅費と一週間の滞在費を支給してくれるらしい。飛行機が嫌いで、外国人が怖い海馬五郎も、一週間は妻とのセックスを休めるというので、その誘いにのった。これが悪夢の旅になったのである。
表題作『もう「はい」としか言えない』の他、海馬五郎の恥ずかしい少年時代をヴィヴィッドに描いた『神様ノイローゼ』をカップリング。
天才・松尾スズキのシュールでエンタテイメント精神にあふれる、まったく新しい小説世界へようこそ!
作者の分身とも思える海馬五郎を主人公とした中編が2本収録されている。表題作は主人公よりも通訳兼アテンド役の斉藤聖がとにかく面白かった。
もう1本の『神様ノイローゼ』は作者の子供の頃のエピソードなんだろうな。どこまでが本当なんだか分からないが、かなり奇天烈で、こちらも面白かった。でもやっぱり、これで芥川賞受賞はないだろうな。
もう「はい」としか言えない | |
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