オラクル・ナイト(ポール・オースター)★★★☆☆ 3/6読了

重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンを歩き始める。不思議な文房具店を見つけ、そこで買ったブルーのノートに新しい物語を書きだすと…。美しく謎めいた妻グレース、ダシール・ハメットのエピソード、ガーゴイルのように動き出す物語の渦。ニューヨークの闇の中で輝くものを描き出す、感動の長編。

去年買っておいたのだが、後回しになってしまい今頃読んだ。最初はちょっと取っつき難かったのだが、主人公シドニーの書く小説が面白くなるにつれて引き込まれた。
小説内小説があったり、詳細な註が付いていたりして、かなり複雑な構成になっている。ただ、一旦話の流れに乗ってしまえば、さほど分かりにくいということはない。最後の方で悪い方へ悪い方へ話が進んでいくところは、ちょっとアーヴィングの小説を思い起こさせた。
ビターエンドだが、それほど後味は悪くない。さすがオースターというべき、印象深い作品だった。

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