らくだ工務店 第19回公演「動かない生き物」

もしも時が戻せるなら16の秋に戻りたい。
高校を辞め、ただなんとなく生きていただけの一番戻りたくないあの頃に。
母からの電話に「あ、そう」とそっけなく返事をしたあの頃に戻りたい。
アイツが尻尾を振るのをやめた日、僕はパチンコをしていた。
もしも言葉がわかるなら、最後にアイツはなんて言っただろう。
メンドクサイと散歩に行かなかった僕になんて言っただろう。
机の下で嫌いなおかずをあげていた僕になんて言っただろう。
案外「マジでサンキューっす。幸せでした」なんて言ったかもしれない。
その答えはもう二度と聞くことは出来ない。
や、どっちにしろ聞けるわけない、と言い聞かせ僕は今日も散歩に出かける。


作、演出:石曽根有也
出演:林和義 古川悦史 麻乃佳世 松本紀保 永滝元太郎 宝積有香 間瀬英正 今村裕次郎 瓜田尚美
日時:2010年10月23日(土)〜28日(木)
劇場:赤坂RED/THEATER

ランチは「ふきぬき」でひつまぶし。前回ひつまぶしだったから今回はうな重にしようかと思ったのだが、やっぱりひつまぶしを注文してしまった。比較的安くてまずまず美味しいね。


前回の「カラスの歩く速さ」は個人的にはイマイチだったので、今回はどうなるかなあと思っていたのだが、私の知る「らくだ」らしい芝居に戻っていた。
動物園の飼育員たちの話で舞台はその休憩所みたいなところ。舞台装置は相変わらず手が込んでいて素晴らしい。表面的な人間関係の他に個人個人がそれぞれ抱えている問題がちょっとずつ見えてくるところが「らくだ」らしい展開だ。林さんが若い娘と出来ちゃってたら笑えるなと思ったが、さすがにそれはなかった(「絶滅のトリ」を観てないと分かりませんな)。
今村裕次郎の「マジっすか?」は2、3回しかなかったので物足りない。もっと連発して欲しいんだよな。麻乃佳世さんが出ていたので、「めぐみのいろは」もちょっと思い出した。客演陣の演技もまずまずだったんじゃないだろうか。上演時間は1時間40分。
次回は来年の5月に下北沢駅前劇場で「戦争にはいきたくない」の再演だそうだ。私は観ていないので、私的には初演だ。楽しみに待ちましょう。