THE SHAMPOO HAT 第22回公演 『立川ドライブ』

作・演出
  赤堀雅秋
 
出演
 坂井真紀  萩原利映(グリング)  野中隆光  日比大介  児玉貴志  多門勝
 黒田大輔  滝沢恵  吉牟田眞奈  梨木智香  長尾長幸(劇26.25団)  赤堀雅秋


公演日程・会場
  2008年5月29日(木)〜6月8日(日)
 
  シアタートラム
  世田谷区太子堂4-1-1キャロットタワー  TEL:03-5432-1526

開幕でいきなりラストシーンが暗示され、そこへ向かって物語は進んでいく。舞台上には舞台装置と呼べるものはなく、左奥にはスチール机と椅子。左手前にはダイニングテーブル。右奥にはキャバレーのソファとテーブル。右手前にはアパートの一室にあるようなローテーブル。つまり場面が変わるごとにその四隅で芝居が展開されるのだ(もちろん中央でやるときもある)。
主人公の警察官松田はキャバレーのホステスである「さやか」(本名:工藤洋子)に惚れている。その松田が次第にストーカーまがいの行為をしはじめ、しまいに・・・というストーリーだ。そこに洋子の友人夫婦の話や派出所の警官をいつも困らせるちょっと変わった夫婦などの話が挿入されていく。
全体的に残念なところが多かった。まずシアタートラムのあの高さがあって奥行きがある舞台を活かしきれていない。あんな机や椅子を置くだけならもっと狭い劇場で十分だろう。実際、今まではもうちょっと狭い劇場でやっていたようだ。後半にあの高さを活かした工夫が一応出てくるのだが、功を奏しているかどうかは微妙だ。
脇役たちの挿話が本筋に有機的に絡んでいるように感じられなかったのも残念な点。それぞれの挿話はそれなりに面白いのだが、芝居全体を考えたときの重要性がイマイチ希薄だった。
そして一番残念だったのはラストにひねりがなかったこと。ラストシーンは冒頭に提示されているわけだから、最後にどうなるかは観客みんなが分かっている。その分かっているラストシーンにそのまま到達して終わってしまっては物足りないといわざるをえない。最後に届いたメールに何が書かれていたのかということが観客の想像に委ねられたわけだが、そこら辺をもうちょっとどうにかできなかったのかなと思う。
色々書いてしまったが、役者たちの演技はみななかなか良かった。主演で工藤洋子を演じた坂井真紀は流石に良かったし、作・演出も担当し松田を演じた赤堀雅秋も熱演だった。
次回公演は9月にスズナリだそうだ。やっぱりスズナリのように狭いところのほうが実力を発揮できるんじゃないかな。