みなさん、さようなら(久保寺健彦)★★★★☆ 1/14読了

新聞広告での絶賛振りは、私に三崎亜記の『となり町戦争』を思い起こさせた。本書も設定のユニークさという点ではいい勝負である。前者では、隣町で静かに始まった戦争に巻き込まれてゆく青年が主人公であり、後者では、ある事件をきっかけに団地から出ることができなくなってしまった少年が主人公である。
主人公である渡会悟は団地から出られなくなってしまったので、中学にも通わずに団地の図書館で勉強する。そして、大山倍達を師と仰いで体を鍛え、団地内をパトロールすることになる(なぜパトロールするのかは後で明らかになる)。中学を卒業すると、団地内のケーキ屋に就職する。小学校の同級生に恋をして団地内でデートを重ねる。段々と小学校の頃の同級生が団地を去ってゆく中で悟は一人団地内で成長してゆく。果たして、悟が団地を出る日は来るのだろうか・・。
この設定を発想するだけであれば誰にもできるだろう。それを実際に1つの物語として完成させたところが素晴らしい。団地内だけで全てを済ませようとする話はなかなかに面白かったし、そこに仕事や恋を経て成長する少年の姿がきちんと描かれている。少年の成長譚としても読めるし、主人公や団地を他のものに置き換えればある種の寓話としても読める。
次作にどんな設定を持ってくるのか楽しみだね。


【追記】
先日夕刊に久保寺健彦が取り上げられていて、この本のカバーを外すとサプライズがあるというようなことが書かれていた。実は私は図書館で借りて読んだので、カバーは外せなかった。本屋で外してみたら・・・、団地の見取り図が表紙から背表紙にかけて描かれていた。あ〜、これ見ながら読みたかったな、残念。

みなさん、さようなら
みなさん、さようなら久保寺 健彦

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おすすめ平均 star
star興味深い。。。
star設定が面白い作品です。
starカリカチュアされた日本人か!?

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