砂と兵隊(青年団)★★★☆☆ こまばアゴラ劇場

2003年『南島俘虜記』『もう風も吹かない』、2005年『御前会議』…
滅び行く日本を執拗に描き続ける平田オリザの最新作!
火野葦平の戦前のベストセラー小説『麦と兵隊』をモチーフに、砂漠の中で行軍を続ける人々を描く不条理劇。
この行軍は、どこまで続くのか…そして彼らは、どこに行こうとしているのか・・・。

作・演出 :平田オリザ
出演 :山内健司 ひらたよーこ 志賀廣太郎 たむらみずほ 小河原康二 渡辺香奈 小林智 福士史麻 大塚洋 古屋隆太 根上彩 石橋亜希子 高橋智子 堀夏子

芝居好きの友人に連れられて初めて芝居を観に行ったのは、10年くらい前だろうか。それから何年間はその友人にチケットを取ってもらっては、いろいろな劇団の芝居を一緒に観に行っていた(私のところに子どもが生まれてからはとんと誘ってくれなくなったけど)。そんな劇団の一つに青年団もあった。『東京ノート』、『北限の猿』、『カガクするココロ』、『海よりも長い夜』など、結構観たね。特に『東京ノート』はスズナリと横浜美術館の二カ所で観た。ひょんなことから今回の公演のことを知り、たまたまチケットが取れたので行ってみた。
『砂と兵隊』ということで、舞台上には全面砂が敷き詰められている(下手の方が高く、上手の方が低く傾斜が付いている)。この白砂がすごく綺麗なんだよな。どこの砂なんだろう。ここに行軍している日本兵(将校以下4名の計5名)、戦場を訪ねてくる妻、母親を捜している家族(父、姉、妹、妹)、新婚旅行の夫婦、それに敵の兵隊2名が入れ替わり立ち替わり現れる。そして色々あって(あえて書きません)、予想通りのラストを迎える。戦争における不条理を描こうとしていたらしいが、全体としてはややぼやけた感じだ(ところどころに印象的な台詞はあったにせよ)。もうちょっとピリッとしたものが観たかった気がするが、そういう風にしないのが青年団の流儀なのかもしれない(最近観ていないのでよくわからんが)。