旅行に行った時に何を重視するかはその人次第だが、私の場合は断然「食」である。今回のメインはもちろん甲子園球場での阪神戦だが、「食」も疎かにはできない。せっかくだからワインを飲みたい。大阪の食事でワインと言えば・・、頭の中の引き出しをひっくり返してみると、「六覺燈」や「パセミヤ」が浮かんでくるが、調べてみると、ちょっとしっくりこない。そんな中、ワインのペアリングで検索していてヒットしたのが「互生」だった。天ぷらとワインのペアリングって今まで経験がないし、お店もこじんまりしていて居心地が良さそうだった。
場所は心斎橋、いわゆるアメリカ村という場所にある。結構猥雑な通りにあるビルの2階。そこだけは静かで落ち着いた空間だった。20時の入店で先客は一組。すでに食べ終わって帰ったお客さんもいたようだ。揚げ場を囲むようにカウンターが8席、それに4人がけのテーブルが1卓ある。カウンターに通された。若い御夫婦で営まれていて、ご主人が料理を、奥様がサービスを担当している。
料理はコース一本でワインもペアリングで予約したので、基本的には全部お任せである。最初はクレマン・ド・ブルゴーニュ。泡が綺麗に見えるグラスも美しい。料理の最初はすだちそば。葛麺を使っているようで、食感が普通のそばや素麺とちょっと違う。暑かったので、さっぱりしていて良かった。
次に蛸の柔らか煮としらすが出たのだが、写真の撮り忘れ。ワインはロゼ。
このタイミングでなぜか土鍋で炊いたご飯。上には雲丹。ご飯はちょっと硬めに炊いてある。ご飯も美味いし、雲丹も美味い。合わせるのは日本酒。なるほど。
ここから天ぷらスタート。塩と天つゆ、大根おろしとレモン、それに鬼おろしがセットされた。ワインはアルザスのリースリング。
まずは車海老から。ノーマルと紫蘇巻き。海老にはこだわりがあるようで、熊本県天草市「幸福堂」というところから仕入れていて、大阪で食べられるのはここだけだそうだ。
続いて、ブロッコリー。
次は鯛に似た白身の魚。名前失念。ワインはブルゴーニュのシャルドネ。王道の味わい。
これも名前を失念したが、いんげんのような野菜。そして、牡蠣。フライではよく食べるけど、天ぷらは初めてかも。
ベビーコーンはヒゲも揚げてある。
ラストは穴子で、ここでようやく赤ワイン、バルベーラ・ダルバ。
最後にもう一丁、にんじんが来た。1時間くらいかけてじっくり揚げていたらしい。甘くて美味しい。そして、ペアリングのラインナップ。
締めは3種類から選ぶ。妻がお茶漬けを選んで、私はかき揚げ天丼(選ばなかったもう1つはカレー)。エクストラでワインも合わせてもらった。
実はこのあとも白ご飯を頂いて、漬物が出てきちゃったから、さらにもう一杯おかわりしてしまった。
途中から、この天ぷらとワインのペアリングが永遠に続けばいいのにと思ってしまった。油が良くて衣が薄いからか、全然もたれないんだよな。
話していて、御夫婦の人柄の良さも感じた。大阪は天ぷら屋が少ないとか、太陽の塔は裏側が格好いいなんて話も聞けた。お店のマークがユーカリを持ったコアラなんだが、これは奥様の名前が「ゆかり」だからそこから取ったらしい。
料理はとても美味しいし、ワインのセレクトも素晴らしかった。ワインの温度やグラスのチョイスも含めて。なかなか大阪に行く機会はないと思うけど、もしまた行ったら是非再訪したい。