とんこつQ&A(今村夏子)★★★☆☆ 10/8読了

真っ直ぐだから怖い、純粋だから切ない。あの人のこと、笑えますか。
“普通”の可笑しみから、私たちの真の姿と世界の深淵が顔を出す。

大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――(「とんこつQ&A」)

姉の同級生には、とんでもない嘘つき少年がいた。父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうらしいが……(「嘘の道」)

人間の取り返しのつかない刹那を描いた4篇を収録、待望の最新作品集!

本谷有希子村田沙耶香など、読んで嫌な気持ちになる本(褒めてます)が最近多いが、本作も嫌な気持ちというか、いたたまれないというか、何とも言えない気持ちになった。淡々した描写で、日常に潜むちょっとずれた人たちを描いているので、こういう人いるかも、いや自分もある意味そうなのかも、とか考えると結構怖いものがある。