日常の中に突如ひらける怪異な世界を描いて余人の追随を許さない百けん文学、後期の傑作七篇を収録。東京幻想紀行とでもいうべき「東京日記」をはじめ、「白猫」「長春香」「柳検校の小閑」「青炎抄」「南山寿」「サラサーテの盤」を収録。
森見の『太陽と乙女』に触発されて図書館で借りたのだが、あらかた読んだところで、ちくま日本文学の「内田百けん」を持っていて既に読んでいたことに気が付いた。「長春香」「東京日記」「サラサーテの盤」の3編が既読なのだが、全く覚えていなかった。ただ、未読だった「柳検校の小閑」が個人的には印象深い。森見絡みで言えば、「南山寿」に出てくるちょっと不気味な男が「小津」の造形に影響を与えているんじゃないかと思いながら読んでいた。
東京日記 他六篇 (岩波文庫) | |
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