フェスティバル/トーキョー17『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』@シアターウエスト

同じ時間、二つの場所で紡がれる物語。隣にいても遠い「距離」から見わたす未来


 星の一生と少女の一生を重ねた音楽劇『わが星』など、個的かつ普遍的な人生の時間を劇場空間に立ち上げる劇作・演出家、柴幸男(ままごと)。東日本大震災の発生当時、東北から離れた場所にいたという彼が、「距離」をテーマにした新作で、フェスティバル/トーキョーに初登場する。
 さまざまな境界線の設定、心理的分断の要因ともなる「距離」に向き合う場として構想されたのは、隣り合う二つの劇場で、同時刻に、同じ俳優たちによって紡がれる二つの芝居からなる作品。それぞれの劇場の観客は、目の前の物語を追いつつ、ごく近くで展開しているはずのもうひとつの出来事、そして作品の全体像へと想いを馳せる。
 また、本作はF/Tと台北パフォーミングアーツセンター(2019年開館予定)との共同製作で、2018年の台北演劇祭での上演も予定している。北九州での船上公演、小豆島での滞在制作など、観客やその暮らしと演劇との多様な関係を模索してきた柴が、複数回にわたる台湾での滞在制作も経て、どのような「遠さ」や「近さ」を二つの劇場に立ち上げるのか。現地で活躍する音楽家・柯智豪(Blaire KO)による書き下ろし楽曲をもとに構成・執筆される戯曲、同じく台湾のファッションブランド「TRAN泉」が手がける衣裳など、日台のクリエイターの本格的なコラボレーションともあわせ、期待が高まる。


作・演出:柴 幸男
キャスト:大石将弘 (ままごと|ナイロン100℃)
  岡田智代
  串尾一輝 (青年団)
  椿真由美 (青年座)
  野上絹代 (FAIFAI|三月企画)
  端田新菜 (ままごと|青年団)
  藤谷理子
  森岡 光 (不思議少年)


10月7日(土)〜10月15日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト/シアターウエス

イーストを観てからのウエスト。ウエストは中央に舞台があり、その舞台の奥にも客席がある。舞台上に大小さまざまな額縁のような枠が埋め込まれており、それを取り出したり、立てて扉のように使用していた。
イーストの時は東子が森岡光で西子が藤谷理子だった。その藤谷理子がウエストで西子なのかと思ったら、そうではなくて、ウエストでの東子は野上絹代で西子が端田新菜だった。それぞれに2人いないと無理なんだな。
話の内容はイーストの全くの裏返しだった。主役の2人以外のキャストはイーストとウエストで表と裏を演じている。まあ、そうでないと2つの劇場で同時進行はできないんだろうけど、話が全く同じというのは残念だった。
端田新菜はさすがの演技力でとても良かったんだけど、イーストかウエストかで言ったら、若い2人が演じたイーストの方が良かったね。舞台装置もイーストの方が良かった。