今回のワールドカップにおいて見えた日本代表の課題(その2)

<試合内容等に関して>

ディフェンスはよく機能していた。カーワン体制になってからの短い期間でよくここまで鍛えたと思う。後半20分以降は足が止まってしまっていた前回大会よりも確実に進化していた。問題はアタックだ。
フィジー戦に顕著だったが、「ボールを取ったらキックで敵陣へ」という決まり事を愚直なまでに遂行するあまり、チャンスをものにすることができなかった。フォワードの頑張りに比べて、バックスはどうもふがいなかったね。やはりラインブレイクできる選手がいないとなかなかトライに結びつかない。アタックのバリエーションというか工夫もほとんど感じられなかった。前回のコニアのトライのようなバックスの流れの中で取ったトライが一本もなかったのが寂しい限りだ。また、ロビンスのキックがひどすぎた。もっとロングキックが蹴れるSOならば、もう少し有利な展開に持ち込めただろう。
ドロップゴールを一度も狙わなかったのも残念だ。前回のイングランドのように狙いすぎるのも問題があるが、ここぞというときのドロップゴールには抜群の威力がある。実際、フィジー戦やカナダ戦のような競った試合では狙う価値は十分にあっただろう。結局問題はSOが本職ではなかったということに行き着くのか。つらつら考えてみると、ロビンスがSOをしなければならなかったというところに今回のワールドカップで1勝もできなかった原因の大部分があるような気がする(もちろん、いいディフェンスは見せていたけどね)。SOはチームの軸と言ってもいい。その軸がぶれてしまってはやはり勝てない。
なんか日本のラグビーを見ていても、ラグビーの楽しさみたいなものが感じられなかった。ウェールズ戦で遠藤がトライした時の一連のプレーのときぐらいかなあ。ディフェンス、ディフェンス、とにかくディフェンスを叩き込まれ、アタックのときも決まり切ったプレーばかり。なんだか苦行を強いられているみたいでね。もちろん、みんな日本よりも格上だから、なかなかプレーに余裕を持てないのは分かる。だけどせっかくワールドカップに来ているんだから、アタックの時くらい、奔放な楽しそうなプレーをもっと見せて欲しかった。
これは選手たちではなくて周りのせいというのもあるだろう。今更言っても遅いけど、「絶対2勝する」なんて言わない方がよかったんじゃないのかなあ。選手たちにプレッシャーかかりすぎでしょ。この言葉の背後には、2015年にワールドカップを日本に招致するためには今回是非とも2勝したいという思惑があったようだが、まずワールドカップ日本招致ありきではなくて、日本代表を強化するほうが先でしょう。そもそも今までジンバブエにしか勝ったことがないのに、いきなり2勝を目標にするのが間違っている。もちろん、ポジティブなことを言わないと士気が上がらないというのは分かる。分かるけど、2勝できるという誇大な妄想をにわかファンに抱かせてしまうのも逆効果だったんじゃないだろうか(ある程度詳しいファンであれば、2勝はおろか1勝でもどうかなと思っていたと思う)。今回は1勝が目標で、次回は2勝が目標くらいでよかったんじゃないのかな。招致に立候補なんてそれからでも遅くない。


(続く)