ジャパンXV vs Classic All Blacks(秩父宮ラグビー場)

どこかのお笑い芸人じゃないけど「がっかりだよ〜」と言いたくなる試合だった。ジャパンXVは勝つ気あったのかね? 確かにClassic All Blacksが相手というのは普通のテストマッチよりもやりにくかったとは思う。それでもあんなプレーを見せられたらガックリ来る。


キックで確実に陣地を稼ぐというのは分からないでもないが、後半点差が開いているのにタッチキック蹴って何になるんだよ。自陣からでも回してくれよ。それからやたらにショートパントを蹴ってはことごとく失敗していた。最も残念だったのは前半の小野澤がフリーになったときだ。小野澤がボールを持ち出し、ハーフラインを越えてロムーと1対1になった。ロムーの後ろには選手はいないからロムーを抜けばトライ確実である。そこで小野澤はショートパントを上げてしまったのだ。結局他の選手が戻ってきてトライにならなかった。あそこは絶対に勝負だった。今のロムーなら抜けたと思う。小野澤はロムーの過去の栄光という幻影を見てしまったのだろうか。


神戸ではラインアウトがひどかったという話を聞いていたが、東京でも同じだった。ゴールラインに近くない時は比較的取れるのだが、ゴールライン付近のチャンスの時にことごとく取れない。これがノートライに陥った最大の原因だ。密集からボールが出るタイミングも苛々するくらい遅かった。ラインアウトにしても密集にしても相手が巧いをと言えばそれまでだが、ワールドカップ本番で当たる相手はClassic All Blacksよりもさらに強いのだ。相手のプレッシャーが強い場面でも確実に素早くマイボールをキープできるようにならなければ勝てるわけがない。


一方で、オールブラックスの往年の名選手のプレーを堪能するエキシビジョンマッチとしては非常にいい試合だった。特にFBのカルロス・スペンサーは凄かったね。左ライン際のカウンターで、まずチェンジオブスピードで安藤を抜き去る。その後これ以上進めないと悟ると、右アウトサイドにかけた絶妙のキックパス。これを拾ったピタ・アラティニがトライ。トライ後のアラティニはスペンサーのキックパスの絶妙さに感に堪えないという表情をしていた。スペンサーはその後もマジック・ジョンソン張りのノールックパスを見せてくれたりと「スペンサー・タイム」を演出してくれた。


スペンサー以外にもSOのアンドリュー・マーテンズ、後半から出てきたSHのジャスティン・マーシャルのプレーも素晴らしかった。ロムーは衰えたね。前半独走シーンがあったのだが、北川に追いつかれてしまった。昔だったら絶対にそのままトライだっただろう。マクラウドやブラウンなど、日本で活躍している選手たちもいいパフォーマンスだった。


秩父宮は満員になったのに、実にお寒い内容だった。前半終了間際から後半の最初にかけて、相手のシンビンでジャパンは一人多かったのに全く一人多いという感じがしなかった。あのまま14人でもClassic All Blacksは勝ったんじゃないだろうか。


ボールを保持し続けるという基本中の基本を無視するようなプレーばかりが目立った試合だった。キープし続けるのはプレッシャーがきついから確かに大変だろう。だからといって、蹴ってしまっては勝てるわけがない。苦しくてもきつくても立ったままボールをキープできるようになって欲しい。戦術なんてそれからだ。


この試合に先立って、セブンスの試合も行われたのだが、これもなんだかやる気があるのかないのかよく分からない試合だった。盛り上がったのは、双子で代表入りした横山兄弟の兄健一が鋭いステップで相手を抜き去ってトライを取ったシーンだけだった。


ジャパンXV vs Classic All Blacks(6-36)