ある子供 ★★★★☆ 恵比寿ガーデンシネマ

20歳のブリュノ。定職には就かず、仲間とともに盗みを働いて、その日暮らしをしている。恋人はソニア、18歳。ふたりの愛は、まるでじゃれあう子犬のようだ。ある日、ふたりの間に子供ができる。だが、ブリュノにはまったく実感がない。盗んだカメラを売りさばくように、ブリュノは子供を売る。それを知ったソニアはショックの余り倒れ、ブリュノは、その時になって初めて自分が冒した過ちに気づくのだが・・。大人になる意味も知らず、その道筋にさえ気づいていないブリュノ。彼は、ただ“何も知らない”だけなのだ。涙も、働く汗も、本当の愛も、命の重ささえも。

上映時間:95分
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌ
脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌ
出演:ジェレミー・レニエ 、デボラ・フランソワ 、ジェレミー・スガール 、ファブリツィオ・ロンジョーネ 、オリヴィエ・グルメ

ロゼッタ』でカンヌ国際映画祭パルムドールを獲得したダルデンヌ兄弟の最新作。なんとこの『ある子供』でもパルムドールを受賞した。『ロゼッタ』同様、貧困層の若者が主人公だ。BGM一切なし。完全に虚飾を廃した映像はまるでドキュメンタリーのようだが、それでいてドラマがある。
典型的なダメ人間であるブリュノだが、辛い現実を経て、本当の愛と命の重さに気づく。決してやり直すのは今からでも遅くない。一筋の希望の光が見えるラストシーンは実に感動的だった。
それにしても、エンドロールのときにも音楽がないっていうのは徹底してるよなあ。