拳の先(角田光代)★★★☆☆ 7/29読了

文芸編集者として忙しい日々を過ごす那波田空也は、あるきっかけで再びボクシングとの距離を縮める。初めての恋人・つた絵の存在、ジムに通う小学生ノンちゃんの抱える闇、トレーナー有田が振りまく無意識の悪意、脅威の新人選手・岸本修斗。リングという圧倒的空間に熱狂と感動を描ききる!傑作長編小説。

『空の拳』の続編。立花というボクサーに惹き付けられる文芸編集者の那波田空也と彼を取り巻く人々の話。前作同様、本作も冗漫な印象だ。連載されていた新聞小説であればいいのかもしれないが、単行本で一気に読むとかなり辛い。ジムの見学、試合観戦、試合後の居酒屋での飲み、ジム、試合、居酒屋、ジム、試合、居酒屋がエンドレスのように続く。ボクサーの立花も学校でいじめられていてジムに通っているノンちゃんも作家の蒼介もすべて空也の目から描かれており、しかも酔うと女言葉になるという設定のややなよなよしている空也の目から描かれているので、読んでいるこちらは妙にもやもやする。設定上仕方ないのだろうが、人のことばかり心配している空也に「おまえの人生はどこにあるんだよ。おまえの人生を生きろよ」と言いたくなった。

拳の先
拳の先角田 光代

文藝春秋 2016-03-10
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